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大阪地方裁判所 昭和55年(わ)224号 判決 1980年10月31日

本店

大阪市東住吉区山坂町二丁目四六番地

商号

有限会社西村診療所検診部

右代表者

代表取締役 深江清

本籍

和歌山市津秦三五番地

住居

大阪市阿倍野区桃ケ池町一丁目一六番二四号

会社役員

西村正子

昭和一九年一二月一五日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官飯田穣出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告法人有限会社西村診療所検診部を罰金六〇〇万円に、被告人西村正子を懲役八月に各処する。

被告人西村正子に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告法人有限会社西村診療所検診部は、大阪市東住吉区山坂町二丁目四六番地に本店を置き、学校、各種事業所の健康診断の受託業を営むものであるが、昭和五〇年一〇月三一日、社員総会の決議により同会社を解散し、以後清算中であったところ、同五一年七月三一日同総会の会社継続決議により再び同五二年二月一日から同会社を継続していたもの、被告人西村正子は、被告会社の監査役であり、かつ実質上の経営者としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人西村正子は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  同会社の昭和五一年二月一日から同五二年一月三一日までの事業年度における所得金額が二九、六九五、〇二五円で、これに対する法人税額が一一、〇二六、九〇〇円であるのにかかわらず、同五二年三月三一日、大阪市平野区平野西二丁目二番二号所在の東住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における清算中の所得に係る予納申告をするに当たり、右事業年度の所得金額が七一一、八一五円で、これに対する法人税額が一八八、〇〇〇円である旨偽りの記載をした清算中の所得にかかる予納申告書を提出し、

第二  同会社の昭和五二年二月一日から同五三年一月三一日までの事業年度における所得金額が四三、七七〇、八五四円で、これに対する法人税額が一六、六五九、五〇〇円であるのにかかわらず、売上の一部を除外し、架空の仕入を計上するなどし、これによって得た資金を仮名の定期預金にするなどの行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、同五三年三月三一日、前記東住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三、九八四、〇八六円で、これに対する法人税額が一、一〇七、〇〇〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正行為により法人税一五、五五二、五〇〇円を免れ、

第三  同会社の昭和五三年二月一日から同五四年一月三一日までの事業年度における所得金額が三二、八二九、五六六円で、これに対する法人税額が一二、二六一、三〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、同五四年三月三一日、前記東住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四、二〇六、九九五円で、これに対する法人税額が一、一四七、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により法人税一一、一一三、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人西村正子の当公判廷における供述

一、同被告人の検察官に対する供述調書二通

一、同被告人に対する収税官吏の質問てん末書一六通

一、西村道彦の検察官に対する供述調書二通

一、収税官吏作成の昭和五四年八月三〇日付、同年一〇月三〇日付二通(記録二五ノ二及び六号のもの)、昭和五五年一月二一日付各査察官調査書

一、東住吉税務署長作成の昭和五五年一月一四日付証明書

一、検察事務官作成の「報告書」と題する書面

判示冒頭の事実につき

一、土橋清平の検察官に対する供述調書

一、登記官作成の昭和五四年七月一八日付登記簿謄本

一、深江清作成の証明書

判示第一の事実につき

一、収税官吏作成の脱税額計算書(記録第一号のもの)

一、東住吉税務署長作成の昭和五四年一一月一九日付証明書(記録第一〇号のもの)

判示第二の事実につき

一、収税官吏作成の脱税額計算書(記録第二号のもの)

一、東住吉税務署長作成の昭和五四年一一月一九日付証明書(記録第一一号のもの)

判示第二、第三の各事実につき

一、収税官吏作成の昭和五四年一一月一六日付査察官調査書

判示第三の事実につき

一、収税官吏作成の脱税額計算書(記録第三号のもの)

一、東住吉税務署長作成の昭和五四年一一月一九日付証明書(記録第一二号のもの)

一、菅敏男に対する収税官吏の質問てん末書

一、収税官吏作成の同年一〇月六日付、同月三〇日付(記録第二五ノ五号のもの)各査察官調査書

(法令の適用)

法人税法一六二条一号、一六四条一項(判示第一の所為)

同法一五九条、一六四条一項(判示第二、第三の各所為)

右いずれも被告人西村正子に対し懲役刑選択、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項、二五条一項

(裁判官 森下康弘)

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